2023.09.20
労務トピックス
常川弁護士による労務トラブルQ&A ~02.メンタルヘルス不調者の採用~
Q:入社して間もなくメンタルヘルス不調で休職する人が増えています。当法人にも「メンタルが弱くて辞めてしまう」「採用したが体調不良で休職したいと申出があった。どうしたら良いのか?」というご相談があります。これらは採用コストの増加、生産性の低下をもたらしてしまいます。実際、採用段階でメンタル不調を見抜くためにどのような点に気を付けたら良いのでしょうか?
A:3つ上げます。
1 採用前の確認
昨今、皆様もメンタルヘルス不調者の増加をお感じのことかと思いますが、現実にも、企業現場における法的トラブルは増加しており、いまや精神疾患既往歴などの健康情報は、採用判断の重要情報といえます。
企業には、採用の自由、調査の自由が認められ、その観点から見ても、出身地や家族状況等によって採用を決めることは問題がありますが、メンタル面を含む健康情報は、採用に当たり情報取得の必要性は高く、企業には調査の自由が認められますし、取得した情報に基づいて企業が採用を見送ることも認められると言えます。
2 確認方法
まずは、面接で質問する、エントリーシート等に書いてもらうというのが端的な方法です。但し、最初から一律に聞くのではなく、最終段階くらいのところで同意を得て情報を取得することが望ましいと言えます。
なお、入社希望者の個人的なSNSについては、公開情報ですので、企業が自由に調査をすることは可能です。
3 採用後の判明
内定段階では辞退勧奨・内定取消、入社後であれば退職勧奨・解雇等の方法が考えられますが、採用時の社員の言動が求められる能力に関する判断をどの程度誤らせるか、配置業務と実際の能力の程度との関連、信頼関係を破壊するに足る程度の秘匿かどうか、債務の本旨に従った労務提供の有無と見込み等を考慮して慎重に判断する必要があります。